先日、富士通とトラスコ中山がデータとAIを活用して人事異動の意思決定プロセスを高速化したというプレスリリースが公開されました。


奇しくも、その前日に開催された「ピープルアナリスト最前線#6」で、異動パターンの抽出についてお話しさせていただいたこともあり、「富士通の人事異動AIって武田さんがやってたの?」という問い合わせがチラホラ届きました。元富士通という経歴から、もしやと思われた方がいらっしゃったようです。
結論からお伝えすると、私はこの取り組みに直接関与しておりません。ただ、しばしば数理最適化技術と異動配置案の作成の接点を考えることがあるので、なんとなく想像できる部分もあります。
以下は、そのプレスリリースを読みながら考えたことのメモです。
なお、本記事は私の個人的な読み解きであり、富士通・トラスコ中山の公式見解ではございません。以下は、公開情報と、クニラボにおけるコンサルティング経験をもとにした考察です。
「数理最適化」というキーワード
プレスリリースを注意深く読んでいくと、「数理最適化」というキーワードが登場します。
本取り組みのために富士通が独自に構築した数理最適化モデルを用い、膨大な組み合わせの中から、各種条件を満たす配置案を導き出します。これにより、人事異動案作成にかかる工数を約98%削減しました。
数理最適化とは、目的関数と変数を定め、制約条件を数式で定式化してコンピューターに解かせるアプローチです。機械学習や統計解析とは少し異なる手法ですが、情報工学的には隣接する領域に位置しています。

物流配送、在庫管理、シフトスケジューリングなど、ビジネスの様々な場面での応用実績があり、問題との相性さえ合えば非常に強力な効果を発揮します。実際に、今回のプレスリリースでは工数を大幅に削減できたということで、コンピューティングの力が発揮されたと言えますね。
ただし、このアプローチの最大の難しさは、目的関数と制約条件をすべて数式で定義しなければならない点にあります。逆に言えば、数式でかっちり定義できないものは最適化されません。
HRの文脈では、目的関数を一つに定めることが難しいケースが多く、過去の経験ではなかなかハマらなかったという印象もあります。同じ問いに向き合ってきた者として、今回の取り組みがどのようにその壁を乗り越えたのか、純粋に興味があります。
今回の目的関数は何かを想像する
数理最適化では目的関数がポイントになりますが、残念ながらプレスリリースの内容からは、どのような目的関数を使ったのかが明記されていません。
そこで、少し想像を膨らませてみました(あくまで妄想です)。
