課題をシャープに絞り込み、課題に沿ってデータを集め、課題とデータに合わせて分析手法を選ぶというのがデータ分析の王道です。特に、インハウスのデータ分析ではこの順番が良いと思います。
この道を逆に辿るとなかなかうまくいきません。
つまり、ある特定の技術や分析方法を固定してそれに合うデータを集め、それらからできることを考えていくと、たまに良い結果につながることもありますが、大抵は業務サイドで活用されないテーマになりがちです。
たとえば、ピープルアナリティクスでは、次ような失敗事例があります。
- AIを活用して離職や休職を予測するシステムを作ったが、現場で使えなかった。
- 人事データを横断的に分析できるようなダッシュボードを作ったが、アクセス数が伸びなかった。
- 社内サーベイのデータを使って人材育成やマネジャーの課題に迫ろうとしたが、情報が不足しインサイトを得られなかった。
まとめると手段よりも目的が大切という、基本的な話になります。
その一方で、人事分野の場合、課題を絞り込む過程がストレートに行かない事が多く、対話と探索的な分析を組み合わせて課題に迫ることが多いです。
データ分析が始まる前にポッとでてきた課題らしきものは、解くべき課題でないかもしれないと思うようにしています。とはいえ、他分野のように「なぜ?」「それで?」と問いかけるだけでは本質に迫ることができません。
なぜかというと、人事は人と組織の可能性に目を向ける仕事でもあるので、課題を決めつける議論になりにくいのです。
そのため、一見するとシャープでない課題の元、手持ちの材料で活動がスタートするので手段先行に見えるのですが、目的を見出すための探索としてはとても意味があります。例えて言うなら、ワークショップをやっているようなものでしょうか。
この活動をになうアナリストには、人事のドメイン知識と柔軟に分析できる技術スキルに加えて、ファシリテーターのような素養が求められます。プロの分析者として責任あるアウトプットを出しつつ、それをフックにクライアントの本音にソフトに迫る必要があるからです。
そして、ワークショップのような「初期分析」を通り抜けてはじめて、プロジェクトメンバーが解きたい課題の輪郭が見えてきます。これを出発点として課題を明文化し、分析アプローチするとよい分析につながるようになるでしょう。
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