この記事ではピープルアナリティクスのスキルアップを目指す人に向けて、参考になる本を紹介します。これまで、実務で分からないことが出てくるたびに本を増やしてきましたが、その中で今も活用している本や、人事の方におすすめしている本を選んでまとめてみました。
洗い出してみると全体で56冊となかなかのボリュームになりました。そこで、入門・中級・発展と3つに分け、さらにトピックス毎に整理しています。
もちろん、このすべてを読む必要はなく、携わっているプロジェクトや疑問点に応じて選んでいただければよいかと思います。
2025.8.17 更新★
- 「本の選び方ガイド」を追加しました。
✨本の選び方ガイド
この記事ではピープルアナリティクスを学ぶ上で役立つ56冊の本を紹介しています。たくさんの本があるので、以下のガイドを参考に選んでみてください。
難易度別ガイド
📗入門編
人事データ分析をこれから始める人事担当者向けの本を整理しています。「ピープルアナリティクスって何だろう?」と思った人もこちらからどうぞ。
📘中級編
集計や回帰分析などのデータ分析手法をピープルアナリティクスに応用する力を伸ばしたい人向けの本を取り上げています。
📙発展編
分析技術はより深く、人事課題の捉え方はより経営的に。ピープルアナリティクスのエキスパートを目指す方に向けた本を厳選しています。
テーマ別ガイド
☑️人事に対する理解を深めたい!
まずはじめに「人事業務の全体観をつかむ3冊」を通読し、人事仕事や人事プロセスの全体観をつかみましょう。そして、気になるテーマや今取り組んでいるプロジェクトに関連する課題を「人事業務の理解を深める5冊」のような本で深堀していきます。これと並行して、「人的資本経営の背景と現在地を学ぶ5冊」の中から1冊選び、人事と経営の接点を調べていきましょう。
☑️回帰分析をやりたい!
はじめて回帰分析を学ぶ人は「ビジネス定量分析の基礎を学ぶ3冊」の冒頭で取り上げた「データ分析をマスターする12のレッスン」から読んでみましょう。そして、「統計学・機械学習の基本を学ぶ3冊」に進みます。手を動かしながら理解したい方は「Pythonで学ぶあたらしい統計学の教科書」を、理論から学びたい方は「統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)」がおすすめです。ピープルアナリティクスでの応用法を学ぶには、「実践的なデータ分析ノウハウを身につける3冊」で取り上げた「男女賃金格差の経済学」がイチ押しです。
☑️機械学習で予測したい!
とにかく予測モデルを作る必要に迫られた場合は、「様々な回帰分析を学ぶ5冊」で取り上げた「LightGBM予測モデル実装ハンドブック」を読んで実装してみましょう。ただし、時系列予測をしたい場合は「Pythonによる時系列予測」も合わせて読んでみてください。
そして、精度が上がらない場合は「データ前処理の助けになる2冊」で取り上げた「機械学習のための特徴量エンジニアリング」を参考にしながら特徴量を工夫していきます。また、予測結果の説明力を上げたい場合は、「様々なデータサイエンスのトピックスを知る4冊」の中の「機械学習を解釈する技術」が助けになるでしょう。
☑️因果関係を考察したい!
これまで予測中心の分析をやってきた人や、何となく回帰分析を回してきた人が因果推論にチャレンジする場合は、「因果推論を深く学ぶための4冊」の冒頭にあげた「入門 統計的因果推論」を読んでみましょう。これを読んで青ざめたり背筋が冷たくなったりした場合は導入として成功ですので、必要に応じて同セクションの本を読んでいけばOKです。
そうでない場合は、「実践的なデータ分析ノウハウを身につける3冊」の「ビジネスデータサイエンスの教科書」をじっくり読んでみてください。
☑️数式ベースで効率的に学びたい!
私は数式だけでは理解が進まなかったので、たくさんの本に手を出すことになりました。しかし、数学が得意な人はより少ない本でデータ分析スキルを伸ばしていけるでしょう。そんな理論派の人が意思決定支援のためのデータ分析をゼロベースで学ぶ場合を想定し、ロードマップを描いてみました。
まず「統計学・機械学習の基本を学ぶ3冊」の「統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)」で統計学の基礎を学んだ後、「モデリングの発想を広げる4冊」の「一般化線形モデル入門」で指数分布族を基盤としたモデルを理解します。その上で、「因果推論を深く学ぶための4冊」の「反事実と因果推論」「『ほとんど無害』な計量経済学」で統計モデルを使った因果推論へ。最後に、「様々なデータサイエンスのトピックスを知る4冊」の「データ駆動型回帰分析」で意思決定における機械学習の活用を考えます。

📗ピープルアナリティクスおすすめ本〈入門編〉
ピープルアナリティクスの全体像をつかむ2冊
まずはピープルアナリティクスとは何かということを、ざっくり理解することから始めてみましょう。初めの一歩は定評のあるこの2冊から。
人事のためのデータサイエンス,入江崇介 著
ピープルアナリティクスといえばこちらの本。私も大変お世話になった本です。意思決定にデータを活用する考え方からはじまり、身近な人事課題を取り上げつつ分析手法を紹介していく構成になっています。課題と手法が1対1になっているのでとても理解しやすい本です。
全体像を理解する上で有益な本ですが、この1冊だけで実務でデータ分析を応用できるようになるかと言えば、難しいところです。なぜかというと、取り上げられている例題データがリアルな人事データと比べて簡素になっているからです。そのため、本書を読んだ人事の方から「実際にやってみたいのだけど手の動かし方が分からない」というお話もお聞きしたことがあります。
逆にいうと、シンプルな例題を使ってデータ分析のコアの部分を解説しているからこそ、読みやすいわけです。一般的な統計解析の入門書の場合、どうしても数式が入りますし、人事課題と結びつけて説明がなされることは稀です。その意味で、本書はピープルアナリティクスの入門書として優れていると考えています。
実践ピープルアナリティクス,岩本慧悟・藤澤優 著
ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会の上席研究員による本格的な入門書です。タイトルに「実践」という言葉がある通り、実務応用を意識した構成と内容になっています。データ分析の目的や事例、データの種類、分析手法と幅広いトピックスを収録しています。
本書の特徴は、定量的な分析だけでなく、インタビューなどの定性調査についても網羅している点にあります。
ピープルアナリティクスというとどうしても定量分析に目が行きがちですが、計量可能なデータだけで結論を出すことが難しい場合もしばしばあります。実際、過去に携わったプロジェクトにおいても、定量分析を行うデータアナリストとインタビューを担当する人事担当者がチームとなって活動した例もありました。
本書には、こうしたリアルなピープルアナリティクスの実態を踏まえたノウハウが散りばめられています。

ビジネス定量分析の基礎を学ぶ3冊
ピープルアナリティクスの全体像をつかむことができたら、いよいよデータ分析手法を学んでいくことになります。他分野でデータ分析の経験がある方は別として、これからデータ分析にチャレンジする方は、基礎を固めることが大切です。以下、毛色の異なる3冊を選んでみました。まずは本屋などで手に取っていただき、肌に合うものを選んでみてください。
データ分析をマスターする12のレッスン,畑農鋭矢・水落正明 著
データ可視化や回帰分析を中心に、データ分析の基礎を分かりやすく解説した本です。文系の学生向けに書かれた教科書のため、人事の方にとっても読みやすいのではないかと思います。実際、これまで多くの人事担当者におすすめし、好評をいただきました。
本書の特徴は「データとの向き合い方」を少しずつ伝えていくところにあります。具体的なグラフを取り上げて解説をスタートしているため分かりやすいです。
前半はデータを見て考える方法を、後半では回帰分析を中心に取り上げています。人事データ分析においても、データ可視化と回帰分析は重宝するツールですので、こうした入門書から入るのはおすすめです。
意思決定のための「分析の技術」,後正武 著
ビジネスで求められる定量分析の指南書で、たいへん長く読まれている本です。コンサルタント必読の本ともいわれています。本書は統計解析や機械学習を教える本ではありませんが、定量データを使ってビジネスで意思決定する上で大切な概念を整理しています。
私がデータサイエンティストに転身したとき、異動先の上司からおすすめされた本の一つがこの本でした。ビジネスと技術の接続を考える上で有用な視点を与えてくれる本です。また、定量データを使うというのはどういうことなのか、深く考えさせてくれる本でもあります。
もし、データ分析を始めた直後で「統計的な考え方がわからない」という悩みを抱えていたり、統計学の本を読んでも手触り感がないという場合は、本書が助けになるかもしれません。
データ視覚化のデザイン,永田ゆかり 著
本書は、データを可視化する上で知っておくべきセオリーを分かりやすくまとめた本です。書面デザインも美しく、読んでいて楽しい本でもあります。
グラフを使ってデータを可視化することは、データアナリストにとってとても重要なスキルです。しかし、棒グラフなどの手法は、学生時代に数学や理科の時間に習ってからあまり使っていないという方も多いのではないでしょうか。
データの全体像を捉え、傾向をつかみ、インサイトを経てレポーティングするという一連の流れにおいて、データを可視化することはとても大切です。本書はそのためのガイドとして分かりやすく、初学者にもおすすめです。

統計学・機械学習の基本を学ぶ3冊
データアナリストになるためには、どこかの時点で統計学や機械学習の専門書を読まなくてはなりません。少なくとも、統計学や機械学習特有の用語を頭に入れておくことが必要だからです。とはいえ、通読すればOKという類のものではなく、まずはざっと目を通してキーワードを頭に入れて置き、他の専門書やWebの記事を読んで分からない単語が出てきたときにこれらの専門書に戻れるようになることを目指します。そのインデックスとなるような本を手に入れましょう。
統計学入門 (基礎統計学Ⅰ),東京大学教養学部統計学教室 編
各所で「おすすめ統計本」として推薦され続けている統計学の入門書です。データ表現から始まり、確率、確率分布、推定、統計的検定、回帰分析までカバーしています。当然ながら数式もでてきますが、文章や例題による解説も豊富で比較的読みやすい本です。データアナリストを生業とする方は、本書に限らず統計学の本を一冊持っておくべきでしょう。
データサイエンス入門,上田雅夫・後藤正幸 著
統計解析と機械学習の両方を網羅的に解説したデータサイエンスの入門書です。両方をバランスよく学べる本はあまりないので、とても貴重な本です。分析手法だけでなく、データ分析の進め方を解説している点も素晴らしいです。ただし、因果推論の話題はあまりでてきませんので、注意してください。
Pythonで学ぶあたらしい統計学の教科書 第2版,馬場真哉 著
本書はPythonを使って統計学の基礎を学ぶことができる本です。基本統計量から始まり、確率分布、統計的仮説検定、回帰分析、一般化線形モデルといった統計学の基本を網羅しています。Pythonのサンプルコードも豊富で、学ぶ上でも実務でも重宝します。
統計学は実学でもあるので、データを使って実際に分析してみることが習得の近道であることは間違いありません。RやPythonといったオープンソースのデータ分析ツールが登場したことで、演習が身近になりました。
その一方で、Pythonのデータ分析本の多くは機械学習や予測モデリングを中心に解説しており、伝統的な統計解析を学べる本があまり出版されてきませんでした。こうした状況を打破したのが本書であり、ピープルアナリティクスに取り組む方にもおすすめしています。Pythonの統計モデリングライブラリであるstatsmodelsの入門書としても優れています。

人事業務の全体観をつかむ3冊
人事経験のないデータアナリストがピープルアナリティクスに取り組む場合は、人事業務への理解を深めることも大切です。このセクションでは、一般的なデータアナリストやデータサイエンティストが、人事業務をざっと俯瞰するための参考書をご紹介します。
図解 人材マネジメント入門,坪谷邦生 著
人事業務の中核をなす人材マネジメントの全体像を分かりやすく示した本です。電子書籍でも出版されていますが、レイアウトや図解がよいので紙の本がおすすめです。一般的なエンジニアでもイメージしやすい構成になっています。
本書の特徴は豊富な図解に加え、章末にガイドとなる本のリストをつけているところにあります。私もピープルアナリティクスを始めたころ、この本を母艦としていろいろな本を探すことができました。
人事担当者が知っておきたい、⑧の実践策。⑦つのスキル。,労務行政研究所 編
本書は人事担当者がまず読む参考書の一つとされているようです。「青本」と呼ばれる本書の他に、より入門的な「赤本」もあります。はじめて読んだのは赤本の方でしたが、人事の実務ってこうなってるのかと感心するとともに、これを知らないで分析の話をするのはリスクがあるなと思ったものです。
今手元にあるのは青本の第2版で、古典的な人事データの計量方法についても取り上げられています。人事担当者がどういった仕事と実際的に向き合っているのか知ることができる素晴らしい本です。
図解 人的資本経営,岡田幸士 著
人的資本経営の文脈で人事業務全般を捉えなおした本です。人的資本経営という名前がつく本は多く出版されていますが、人事担当者にとってわかりやすいタイプの本で、実際に評価も高いようです。
ピープルアナリティクスにつながる提案や提言も数多く収録されていて参考になりますが、それよりも重要なのは本書が売りにしている「50の問い」ではないでしょうか。この問いこそ人事担当者や人事部長の関心どころであり、日々向き合っている問いだからです。その意味で、目次を読むだけでも発見がある本でしょう。


📘ピープルアナリティクスおすすめ本〈中級編〉
実践的なデータ分析ノウハウを身につける3冊
データ分析手法を身につけるためには、実践経験が重要です。とはいえ、実務で出会うことができるタスクには限りがあるのが悩みどころです。この悩みを解決する方法として、事例や応用的なテーマを含む本で学ぶことは有効なアプローチです。
このセクションで紹介する本は、データサイエンスのビジネスでの実践にフォーカスした参考書です。何となく回帰分析や予測ができるようになったな、というような方は唸らされることになるでしょう。
前半の2冊はWebマーケティングを中心とした教科書ですが、様々な分野で応用が利く内容になっています。また、3冊目の「男女賃金格差の経済学」は人的資本経営における男女賃金格差にフォーカスした本ですが、ピープルアナリティクス全般の進め方の参考になる本ですので、おすすめです。
ビジネスデータサイエンスの教科書,マット・タディ 著
かのマイクロソフトとアマゾンでデータ分析チームを率いていた著者による、ビジネスデータサイエンスの実践的指南書です。タイトルを見ると教科書的に感じるかもしれませんが、内容は極めて実践的です。とはいえ、難易度はやや高く、経験者向きです。
本書の特徴は、章を追うごとに内容が深化していく点にあります。
具体的にはランダムサンプリングを前提とした一般的な統計解析の応用例からスタートし、A/Bテストを含む「実験」に到達します。そして、続く「統制」という章で、ランダムサンプリングされていないデータの分析上の課題を示し、その解決策に進みます。この流れが絶妙なのです。
統計解析や機械学習の入門書を読むと、その多くがランダムサンプリングを前提とした推測統計や予測モデリングを前提とした話題構成になっています。つまり、ランダムサンプリングでない観察データを扱う上での話題は提供されないことが多いのです。逆に因果推論の専門書は難易度が高いので手を出しにくく、因果推論の必要性に気づきにくいこともあります。
本書はこの問題に正面から鋭く切り込む本です。はじめにで著者は次のように述べていますが、この一節を読んでドキッとした方は多いのではないでしょうか。
初期の「予測分析」は機械学習を見栄えよく見せることを過度に重視しがちであり、ビジネスの意思決定に必要な要素を考慮していなかった。
かくいう私もその一人であり、本書をきっかけに相関と因果の問題や、因果推論の手法を学びなおすことになりました。
やや歯ごたえのある本ではありますが、ピープルアナリティクスは予測よりも因果関係の考察が大切になる分野ですので、ぜひ本書に挑戦してみてください。
効果検証入門,安井翔太 著
効果検証入門は、マーケティングを題材に因果推論の考え方を導入する入門書です。ビジネスの意思決定支援にデータを活用することを考えたとき、本書に書かれていることはすべからく理解しておく必要があると思います。逆に言えば、本書を読むことで、データを利用した意思決定支援の実際的なイメージを掴むことができるという効用があります。
本書が登場したのは2020年で、当時は第3次AIブームに乗った機械学習による予測モデリングが全盛な時代でもありました。一部で、どのようなタスクでも教師あり学習に持ち込めばOK!のような空気感があり、予測精度を担保することを目的としたプロジェクトもたくさんありました。もちろん、データ活用の目的が予測であればそれでもいいのですが、変数間の関係を把握したいのであれば、予測中心のアプローチでは少々まずいことになります。
人事のように観察データで因果関係を捉えたいなら、予測でなく因果推論の考え方を導入しなくてはなりません。本書は因果推論の実務的な入門書として大変優れています。
男女賃金格差の経済学,大湾秀雄 著
人的資本経営のテーマのひとつである男女賃金格差の問題に深く切り込んだ本です。このテーマに取り組んでいる人はもちろん、違うテーマでピープルアナリティクスをしている方にもぜひ読んでほしい本です。
前半は社会的な視点から始まり、産業や組織の傾向、人の意識へと話が進みます。そして後半は、企業の中でこのテーマをどのように定量的に分析し、アクションプランに繋げていくかということが分かりやすく論じられています。この一連の流れが、人事データを駆使した調査研究の理想的なストーリーテリングとなっていて、大変参考になります。また、実践的な回帰分析の指南書としてもおすすめです。
以前、男女賃金格差分析に関するプロジェクトに携わったことがあるのですが、初めての経験で、かなり手探りだったというのが正直なところでした。この本があれば見える風景が随分違っていたでしょうね。

探索的データ分析手法を学ぶ3冊
探索的データ分析(EDA)とは、データ可視化や統計的分析を活用してデータの特徴を理解するための一連の手法やプロセスを指します。これにより、データに潜むパターン、異常値、関係性などを発見し、より深い分析やモデリングのための知見を得ることができます。
データ分析プロセス全体から見ると、EDAの役割は小さく見えるかもしれません。しかし、ピープルアナリティクスにおいてEDAが重要なプロセスになると私は考えています。
その理由は、①ピープルアナリティクスではランダム化比較試験を行うことができず観察データの分析がほとんどであることと、②人事内のコミュニケーションを促す上でEDAは強力な武器になるからです。
その一方で、EDAは暗黙的な作業でもあり、体系的なナレッジがない分野でもあります。データ可視化、教師なし学習、古典的な多変量解析手法を駆使して、データの森を分け入っていくことになります。このセクションで紹介する本は探索の良いガイドになるでしょう。
データビジュアライゼーションの基礎,Claus O. Wilke 著
EDAでもっともよく使う道具はデータ可視化です。様々なグラフを使って変数の様子や、変数と変数の関係を考察しながらデータを探索していくわけですね。
ここでいうデータ可視化は誰かのために行うものではなく、データアナリスト自身がデータと向き合うために行う行為です。つまり、「考えるためのデータ可視化」といってよいでしょう。
考えるためにデータを可視化するには、分析の意図を持ってグラフを描かなくてはなりません。「何となく棒グラフを描くか」というのではなく、「XXXの量をYYYで比較するために棒グラフを描いてみる」という意図が必要なのです。また、データの特性と分析意図に応じてグラフを適切に選択できなくてはなりません。
本書はグラフの用途をカテゴライズし、それらの意図を実例と共に解説する本です。カテゴライズの方法が非常にわかりやすく、データ分析を始めたときにこんな本があったらと思うような本でした。EDAでグラフの選択に迷っている方は、ぜひ手に取ってみてください。
Pythonではじめる教師なし学習,Ankur A. Patel 著
目的変数を明確に定めることなく、データ群から何らかのパターンや傾向を抽出したり、まとめ上げたりする一連のデータ分析手法を「教師なし学習」と言います。具体的な手法でいうと、主成分分析、因子分析、クラスタリング、埋め込みなどがこのカテゴリに含まれます。
「教師なし学習」という言葉の発信源は計算機科学・機械学習であり、正解(=目的変数)のないデータを使って機械に学習させることを目指したものでした。データ分析の文脈では、回帰分析以外の多変量解析手法がここに含まれます。本書の特徴は、こうした統計解析から機械学習に至る様々な教師なし学習手法をハンズオンで演習できることです。
ただ、カタログ的であるため、全体を俯瞰しリファレンスとして使うのがよいでしょう。理論面を学ぶには他の専門書を当たる必要があります。
RとS-PLUSによる統計解析 第2版,W.N.ヴェナブルズ 著
本書はデータ可視化、重回帰、因子分析、主成分分析、線形混合効果モデルといった古典的な多変量解析手法を解説した本です。会社の図書館で統計の本を乱読していたときに偶然見つけた本でした。タイトルにS-PLUSとありますし、アマゾンを眺めていても絶対買わなかったでしょう。
過去の研究対象となったデータをもとに、多変量データとどのように向き合っていけばよいか、実践的に指南してくれる本です。全般的に、探索的データ分析(EDA)寄りの内容となっています。技術的な解説もあるのですが、データに対する見方やハンドリングの流れがリアルで、とても参考になりました。
扱うデータはデータサイズや変数の数はどれも小さ目ですが、それ故に、じっくり考えることができます。データの特徴を捉えて考察していく上で、大変よいトレーニングになるかと思います。"統計的に考えるとはどういったことだろうか"という悩みを持っている方にはよい題材になるでしょう。

様々な回帰分析を学ぶ5冊
回帰分析はデータを使って現象を考察したり、予測したりするための強力な手法です。ピープルアナリティクスの現場でも、給与格差や離職率、評価スコアの分析など、多くの課題に活用されています。
ただし、その用途は「現象の記述」「予測」「因果関係の特定」と幅広く、それぞれに適したモデル設計や推定方法があります。あまりにも広範囲であるため、一冊でこれら全てをバランスよく解説した教科書はほとんど存在しません。
そこでこのセクションでは、異なるアプローチをとる5冊を通して回帰分析の輪郭を立体的につかめるよう構成しました。基礎理論から始め、スパース推定や固定効果モデルといった応用、そして機械学習や時系列予測へと広げていきます。
データ解析のための統計モデリング入門,久保拓弥 著
本書は、回帰分析における統計モデルの組み立て方を丁寧に解説した本で、長らく「緑本」と親しまれてきました。最小二乗法による重回帰からスタートし、一般化線形モデルやベイズ法による階層モデルの推定まで導いてくれる本です。題材は生態学ですが、分かりやすい解説と図解があり、ビジネス分野のデータアナリストやデータサイエンティストが読んでも頭に入りやすい本でしょう。
本書では、観察研究であるにもかかわらず統計的検定を用いて有意差が出るまで検定を繰り返すようなアプローチを否定するところから議論がスタートします。この問題は一般にp値ハッキングと言われるもので、アカデミックのみならずビジネスの分析現場でもしばしば問題になります。ピープルアナリティクスは基本的に観察研究であることが多いため、本書の論点は必ず知っておくべきです。
一方、本書で統計モデリングのすべてが語られているわけでないことも押さえておくべきでしょう。たとえば、統計モデルでメカニズムを考察する上で欠かせないバックドア基準などの因果推論の理論が示されているわけではありません。また、モデル選択の目指す先が記述なのか予測なのかやや曖昧なところもあります。
しかしながら、こうした議論をすべて含めると話が広がりすぎてしまい、本書の軸である統計モデリングの骨格が見えにくくなってしまうのも事実です。したがって、本書で統計モデリングのゴールではなく一歩目であると理解し、楽しく学びましょう。
スパース推定法による統計モデリング,川野秀一 他著
スパース推定法は、機械学習や統計学で用いられる手法で、モデルのパラメータの多くをゼロにすることで、重要な特徴量だけを抽出する方法です。具体的にはLassoが有名で、正則化を活用しパラメータの推定をしながら目的変数の予測に寄与する変数のみを自動的に選択してくれます。本書は、このようなスパース推定法にフォーカスした本であり、線形回帰の他にも、主成分分析などの教師なし学習手法への適用例も収録されています。
回帰分析を行う場合、パラメータ数よりもデータ数が多くないといけませんが、ゲノム解析やWebマーケティング分野などにおいては、しばしばデータ数が足りないことがあります。極端な場合、データ数がパラメータ数の何分の一しかないようなケースもあり、一般的な重回帰では全く歯が立ちません。これを「N << p 問題」といいます。Lassoのようなスパース推定法はこの問題にアルゴリズムで立ち向かうための武器であり、ビジネスデータサイエンスでも重宝されています。
一方、Lassoのような正則化を行うと、パラメータ推定値の一致性が担保されない問題がでてきます。この他にもいくつか利用上の注意点があり、一般的には予測や探索に向いている手法です。
ピープルアナリティクスでは説明力が求められる予測タスクや、探索フェーズでの道具の一つとして利用することになるでしょう。
固定効果モデル,Paul D. Allison 著
固定効果モデルはパネルデータ分析に用いられる手法の一つで、ピープルアナリティクスで因果関係の考察をする上で使い勝手のよい道具の一つだと考えています。本書は、コンパクトながらパネルデータ分析の力強さと仕組みをわかりやすく解説した本です。一般的な回帰分析を学んだ人が因果推論に挑むための一歩目としてもよい本だと思います。
パネルデータとは、複数の観察対象(個人、組織など)を複数期間にわたって追跡し、収集したデータのことです。ピープルアナリティクスの例でいうと、従業員のエンゲージメントやコンピテンシーを繰り返し計測した履歴データがパネルデータに該当します。
パネルデータ分析では、観測できない観察対象の差を上手く打ち消すことができる手法で、見えない個人差や組織差を考慮した推定を行うことができます。人事データやサーベイは歴年で管理していることが多く、ピープルアナリティクスとの親和性が高い手法ではないでしょうか。
LightGBM予測モデル実装ハンドブック,毛利拓也 著
今日のビジネスデータサイエンスでは、予測をするなら機械学習という風潮になっています。純粋に予測精度のみで勝負した場合、伝統的な統計解析手法が機械学習を上回ることはなかなかありません。その理由は、機械学習がデータ間のメカニズムを解明することよりも、予測誤差最適化に特化して開発されてきたことに由来します。
本書は機械学習を用いて予測モデルを構築することに焦点を当てた本で、その中でもよく利用されているLightGBMに絞った内容になっています。LightGBMは決定木をアンサンブルした手法の一つであり、予測精度が高く学習速度も高いことから重宝されています。
このLightGBMとシンプルな罰則付き線形回帰を題材として、予測モデルを構築するセオリーやノウハウを学ぶことができるのが本書の特徴です。予測モデルを構築する際、線形モデルとLightGBMのよう非線形モデルを両方試すことで問題の難易度やデータの特性を把握することができます。その意味でも、本書のアプローチは応用上有用です。
ところで、近年、機械学習の世界ではディープラーニング(DNNを使った学習)があらゆる分野を飲み込んでいきました。画像認識からはじまり、音声認識、テキスト分類、機械翻訳、対話システムなど、あっという間に席巻していきました。特に、それまで分析やモデル化が難しかった画像やテキストなど非構造化データの学習を可能にしました。その先頭には大規模言語モデル(LLM)が君臨しています。
その一方で、ピープルアナリティクスで扱う構造化されたテーブルデータの分析においては、必ずしもDNNがベストとは限りません。予測性能でいうと、本書で取り上げているLightGBMのようなアンサンブルツリーが優勢な場面が多々あります。
その理由は様々ですが、第一にテーブルデータの列を組み合わせた特徴量を自動的に取り扱えるのが大きいです。また、学習に必要なデータ量や計算機コストの面でも有利です。そのため、ChatGPTでテーブルデータを分析する場合であっても、モデリングには線形モデルやアンサンブルツリーが使われれることもよくあります。
これは記事を書いている2025年現在の状況ですので、今後変わっていく可能性はあります。その分水点は、テーブルデータの構造に特化したDNNのネットワーク構造が確立されたときでしょう。ただそれがいつ起きるかは分かりません。
このように、ピープルアナリティクスで予測モデリングの方法を学ぶ上でアンサンブルツリーの使い方を習得するのは有益であり、本書は良いガイドになるでしょう。
Pythonによる時系列予測,Marco Peixeiro 著
時間経過によって値が変化するデータを時系列データといいます。本書は、機械学習を使って時系列データを使った予測をするための方法論を整理した本です。ピープルアナリティクスで時系列データを扱うことは少ないかもしれませんが、パルスサーベイや時間外時間数など一定間隔で記録されたデータの扱いを考える上で、知っておいて損はありません。
時系列データを使って予測を行う場合、ある時点から過去に観測された情報を元に、将来を予測するタスクとなります。機械学習で「予測」というとき、必ずしも将来予測を指すわけではありませんが、時系列予測は一般的な予測という言葉のイメージと近いのではないでしょうか。
時系列予測を行うためには、時系列データの特徴にあった方法でモデリングしていかなくてはなりません。古典的には自己回帰系のモデルとしてAR、ARIMA、SARIMAといったモデルがよく利用されています。また、非線形な予測にはディープラーニングも利用できます。このように、時系列予測を行うためには時系列データに特化した様々な方法論を学ぶ必要があります。
本書は、広範囲な時系列予測のアプローチをコンパクトにまとめており、学びやすい内容になっています。また、近年よく使われるMeta社が開発した時系列予測ライブラリProphetの使い方も解説しており、実用性が高い本です。

データ前処理の助けになる2冊
データ分析実務ではデータを準備し適切に加工する作業に時間がかかるものです。この作業のことを「データ前処理」「データクレンジング」「データラングリング」などといいます。特にピープルアナリティクスはデータ分析用の統合基盤が整備されていないことが多いため、データ前処理のスキルが重要になります。
人事システムは1970年代からIT化された歴史ある領域で、業務システムとして安定しています。しかし、給与管理や人事管理のオペレーションに最適化されたシステムであるため、データ分析者にとって非常に扱いにくいデータ設計になっていることも事実です。さらに、近年注目される社内サーベイやタレントマネジメントは旧来のコア人給システムの外側に存在するため、データが点在してしまうのです。
このような話を聞くと「人事データ分析なんて大変じゃないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、様々な業務分野での分析経験から考えると、データの整備具合は良い部類に入ると考えています。
その理由は、データの軸となる人事基本情報がその履歴も含めてきっちりと記録されているからです。この情報がなければ給与や税の計算を正しく行えませんし、昇給昇格管理もままなりません。これからデジタル化が進む領域では、人事基本情報のような軸となるデータがないこともよくあるのです。
こうした背景を踏まえ、人事データの網羅性と複雑さに感謝しつつ、データ前処理のスキルを磨いていきましょう。このセクションではPythonを使ってデータ前処理を行う上で参考になる本をとりあげます。
Pythonではじめる データ分析のための前処理入門,菅由紀子 著
Pythonを使ってデータをハンドリングする方法を丁寧に解説した本です。最近出た書籍であり、非常によくまとまっていておすすめです。
本書の特徴は、単に前処理のロジックやコーディング方法を解説するだけでなく、データ分析実務で参考になるTipsがたくさん詰まっていることです。たとえば、データを入手したときにはまずデータの外観を確認する必要があるのですが、そのプロセスまでもやさしく指南してくれます。これまで、こうした情報をきれいにまとめた本は少なく、OJTなどで口伝する必要がありました。
データ前処理のテクニックを持っていないと、実務で右往左往して時間ばかりが過ぎていきます。また、Excelやメモ帳を使って手で加工するようなやり方をすると、再現性がなくいつか窮地に陥ることになるでしょう。かつての私もそうで、データ加工方法が分からずExcelで加工したことが何度もありましたが、後々後悔することになりました。
本書のようなしっかりした本を使って演習して一定のスキルを身につけておくと、データ分析作業が随分楽になります。データ前処理に苦戦している方はぜひ読んでみてください。
機械学習のための特徴量エンジニアリング,Alice Zheng 他著
本書は機械学習で予測モデルを構築する際のデータ加工のアイデアをまとめたものです。このデータ加工のことを一般に特徴量エンジニアリングといい、予測精度を上げるための様々なテクニックが提案されてきました。
本書の内容は特徴量エンジニアリングとしてはベーシックなもので、予測でしのぎを削っている方にとっては物足りないという声もあります。一方、コンパクトにまとまっているため、アイデア全体を俯瞰しやすい本です。
ピープルアナリティクスの回帰分析では予測よりも関係性の考察が求められることが多く、本書で披露されるテクニックを使う場面は少ないかもしれません。しかしながら、中級データアナリストを目指す場合、そのテクニックの存在を認識し、統計的な意味合いとリスクを理解しておく必要があると考えています。その理由はいくつかあります。
第一に、データ分析ライブラリとして主流になりつつあるPythonは機械学習に強みがあり、Webの解説記事や書籍が機械学習寄りになっていることが多いからです。そのため、重回帰の解説記事にもかかわらず適切でない(しかし機械学習では有効な)データ加工方法が示されている場合もあります。その危うさに気づくためにも、機械学習屋のやり口を学んでおくことは有益です。
第二に、特徴量エンジニアリングを知ることで、データ分析のアイデアを広げてくれる可能性があるからです。探索的データ分析にはもちろん、予測モデリングや教師なし学習の助けになるかもしれません。
以上の点において、コンパクトに特徴量エンジニアリングを学べる本書はおすすめです。

人事業務の理解を深める5冊
ピープルアナリティクスの問題設定を行う上で、人事課題を深く理解することが大切になってきます。ただ一口に人事と言ってもその幅は広く、採用、配置、育成、処遇といったプロセスの話題から、タレントマネジメントやジョブ型などのホットキーワードも存在しています。
企業の中にいるデータアナリストは一人の従業員でもあるため、こうしたワードを耳にして何となくイメージできるのではないかと思います。しかし、それが人事的にどのような意味を持ち、どのような施策の中で位置づけられているのかわかるでしょうか。
おそらく、人事を担当したことがない方は肌感覚で理解するのは難しいはずです。したがって、ピープルアナリティクスに挑むデータアナリストは、人事業務の位置づけや意義を何らかの形で学ぶ必要があるわけです。
このセクションでは、一般的なデータアナリストやデータサイエンティストが人事のドメイン知識を深く学ぶための参考書を取り上げます。
人事管理,平野光俊・江夏幾多郎 著
企業における人事管理の全体像を整理した専門書です。ピープルアナリティクスをはじめたころに本屋で大量の本を買ってきたのですが、そのうちの一冊で、今も度々参照しています。
本書では、採用、配置、育成といった人事業務のつながりをシステムと捉えている点が素晴らしく、人事を学ぶ上で見取り図を示してくれます。特に、「人事管理のバリューチェーン」という考え方が分かりやすく、人事業務のつながりやプロセスを理解する上で大変役立ちました。
また、人事管理における様々なトピックスを網羅しているため、リファレンスとしても有用です。人事管理で分からないキーワードが出てきたときにはまずこの本で調べてみて概要をつかむようにしています。専門書であるがゆえに「落ち着いた」解説がなされており、安心感があるからです。
ピープルアナリティクスに挑む方にはぜひ一度手に取ってほしい本ですね。
日本企業のタレントマネジメント,石山恒貴 著
体系的なタレントマネジメント本で、大変読みごたえがあります。タレントマネジメント(タレマネ)というと、ITツールとしてのタレマネを思い浮かべる人もいるかと思いますが、戦略人事のアプローチの一つと捉えて学ぶべきです。
ピープルアナリティクスをはじめたころ、クライアントによってタレマネの位置づけが微妙に異なっていて混乱した覚えがあります。あるクライアントは人材の見える化をタレマネといい、別のクライアントは後継者育成や人材プールのことをタレマネという、という具合でした。その一方で、IT部門の方はタレマネを特定のベンダーが提供するシステムやSaaSのことを指すこともあります。
さて、みなさんはタレマネと聞いてどれが思い浮かぶでしょうか? その辺りのモヤモヤを解消したい方はぜひ本書を読んでみてください。
ジョブ型人事制度の教科書,柴田彰・加藤守和 著
近年ジョブ型人事制度に移行する企業が増えてきましたね。私がかつて在籍していた会社でもジョブ型に移行していましたが、まさに移行中に事業部門の管理職をしていたので、そのインパクトを肌で感じることになりました。また、それと並行してピープルアナリティクスによる移行支援を行っていたので、人事と現場の両面から渦中にいたことになります。
当時はジョブ型人事制度に関する書籍はなく、「人事の成り立ち」という国内人事の歴史本を頼りに理解を深めていきました。その後、多くの解説書が登場し、いよいよ日本でもジョブ型シフトが起こるのだろうと想像していましたが、まさにその通りになってきました。
さて、外資系企業では一般的なジョブ型人事制度ですが、メンバーシップ型企業の経験しかないとイメージがしにくい制度だと思います。本書はジョブ型人事制度の本としてまとまっており、参考になるはずです。
新・マテリアル人事労務管理,江夏幾多郎 他著
本書は人事管理業務を取り巻く外部環境や労働市場環境を解説した本で、概況をつかむのに適しています。多種多様なトピックスが網羅されていて、ざっと読むだけでもなるほどと思うことがたくさんあります。まさに人事のデータブック。
人事関係の市況や客観的なデータは、公共団体が公開しているものと民間の調査会社がだしているものがあり、いろいろと点在しています。本書のようにまとまった形で整理されることは少ないので、大変ありがたいです。
多くの方が執筆に携わっている本でもあり、製作はかなり大変だったのではないかと想像しています。データブックということで、数年に一度改定版が出ると嬉しいですね。
対話型組織開発,ジャルヴァース・R・ブッシュ 他編
「対話型組織開発」は、組織のメンバー間の対話を通じて、意識や行動を変革していく方法論を体系的にまとめた一冊です。トップダウン型の変革とは異なり、現場の声や相互理解を出発点とするこのアプローチは、変化の激しい時代においてますます重要になっています。
私がこの本を手に取ったのは、ピープルアナリティクスを始めた当初、人事の方とのコミュニケーションに苦戦した経験があったからです。データ分析の目的やKPIを特定しようとするほど話が噛み合わず、空回りしてしまう。そのとき出会ったのが、シャイン教授の「プロセスコンサルテーション」「謙虚なコンサルティング」でした。これらを読み、自分のアプローチが相手との関係性や対話の質を軽視していたと気づき、組織開発という新しい領域へと足を踏み入れました。
本書は即効性のある“解決策”を提示するものではありません。しかし、人事が日々何と向き合っているのか、どんな前提や価値観で会話しているのかを理解する上で非常に示唆に富んでいます。ページをめくるたびに新たな発見があり、時間を忘れて読み進めてしまう——そんな本です。


📙ピープルアナリティクスおすすめ本〈発展編〉
因果推論を深く学ぶための4冊
ピープルアナリティクスを実践する上で、因果推論の話題は避けて通ることができません。なぜなら、国内人事においてA/Bテストのような実験的な取り組みをすることは難しく、ランダムサンプリングでない観察データを用いて意思決定をする必要があるからです。
統計解析やデータ分析の入門書の多くで回帰分析が登場します。その説明として、説明変数をから目的変数を予測する手法だとすれば予測問題の道具としての解説となります。これは概ね問題がありません。しかし、その一方で、「回帰分析によって目的変数に対して説明変数が寄与しているかどうかわかる」という説明ではどうでしょう? 寄与とはいったい何を意味すると思いますか?
もし、「回帰分析をしたら目的変数と説明変数の因果関係がわかるのでしょう?」と思った方は、このセクションで紹介する本を1冊手に取ってめくってみることをおすすめします。
私も勉強中の分野であり、とても読破したとは言えない本ばかりですが、どれもデータアナリストのレベルを一段も二段も押し上げる本ですので、いっしょにチャレンジしましょう。
入門 統計的因果推論,Judea Pearl 他 著
データを用いて因果関係を考察することの基礎的な理論を構築したJ. Pearlらによる因果推論の入門書です。本書では、因果推論を扱う上で肝になる因果ダイアグラムの考え方を丁寧に解説されていて、因果推論を学ぶ上で土台となる本とも言えるでしょう。
入門書といってもなかなか難しいところもあり、ある程度データ分析や回帰分析を学んだ方が手を出すべき本かもしれません。とはいえ、一度でも変数間の関係を探るような回帰分析をやったことがある人であれば、読んでみる価値があります。読み始めてすぐ「あの時の分析結果はまずかったのでは…」と青ざめるはずです。私もそうでした。
さて、因果推論の世界では、長らくPearlによる因果ダイアグラムの方法論と、Rubinによる潜在アウトカムによる方法論に二分されてきました。あるいは、そのような見方がなされてきたというのが正確なところでしょう。学問の深いところではつながっているのでしょうけど、表出する参考書をめくると、本によってくっきりを流派が分かれていることがありました。これが私のような実務者を混乱させると同時に、学びのハードルが高くなる要因でもありました。
しかし、近年、Pearlの因果ダイアグラムの話と、Rubinの潜在アウトカムの考え方がセットで解説されるようになってきました。そのため、Pearlの考えた方をじっくり学ぶ上で、本書と向き合うのはとても良いことだと考えています。
因果推論,金本拓 著
この記事を書いている2025年8月現在、本書は国内で出版されている本の中で最も網羅性に優れた因果推論の解説本といってよい本です。因果推論の全体像を把握する上で大変有益であるとともに、この分野に銀の弾丸がないことを暗示しています。つまり、データと課題のコンテクストに応じて、適切なアプローチを選ばなければデータから因果関係を考察できないということです。また、適切なアプローチが見つからないこともあるでしょう。
本書はこうした因果推論のけもの道に挑む上でよいガイドを提供してくれます。まずは相関と因果の違いからスタートし、反事仮想に基づく因果効果、平均処置効果、因果ダイアグラムなどの基本概念を解説しています。
その上で、古典的な因果推論手法として、回帰、傾向スコア、回帰不連続デザイン、差分の差分法などが取り上げられています。後半ではMeta-LearnerやCausal Forestなどの機械学習を活用した因果推論手法が解説されており、実務で必要十分な網羅性を持っています。また、Pythonコード付きということで、人気が高いのもうなづけますね。
本書を効率的に読むには、まず手法の概要を理解した上で、各章末についている「XX手法の課題」というセクションに目を通すことをおすすめします。そうすると、多くの手法で「未観測な交絡因子に対する考慮が必要」といった記述を見つけることができます。かなりはっきりと言い切っているのが本書の特徴であり、その現実を受け入れてから学ぶと自分自身の期待値を上手にコントロールすることができるはずです。
その一方で、情報が多く膨大であるがゆえに解説量は少なく、事例ベースでじっくり考えるような構成にはなっていません。したがって、本書は辞書的に活用し、それぞれ気になった手法があったら別の専門書で掘り下げるというのもよい方法だと思います。
反事実と因果推論,S. L. Morgan 他著
社会科学者による本格的な因果推論の教科書です。反事実やPearlの因果ダイアグラムの話からスタートし、回帰モデルを使った因果推論のアプローチを掘り下げていきます。本書の特徴は、一貫してPearl流の因果ダイアグラムの理論と回帰分析を基に、Rubinや計量経済学の様々な理論をまとめ上げている点にあります。
前半は回帰モデルでバックドアパスをブロックし因果推論を行うアプローチが示されます。この中で、記述的な回帰モデルの解釈と実用性についてのディスカッションがあり、とても興味深かったです。特に次の一節にはしびれました。
”回帰モデルを使っている研究者の多く(おそらく過半数)が興味をもっているのは実際には因果効果であろう。しかしながら多くの教科書ではこのような読者の興味を知りつつも、回帰分析の説明をする際には因果効果について芸術的にはぐらかしているのである。”
後半ではバックドア基準を満たせない場合のアプローチの解説があり、操作変数法やパネルデータ分析、回帰不連続デザインなどが取り上げられています。ピープルアナリティクスの実務においては、これらの道具が重要になるでしょう。
本書はボリュームもあり難しいですが、回帰モデルを使って因果推論に挑むすべての方におすすめできる本です。
「ほとんど無害」な計量経済学,ヨシュア・アングリスト 他著
本書は計量経済学における実証分析のアプローチを広く深くまとめた一冊で、大学院生向けの高度な内容となっています。計量経済学の研究者でないと手に取らない本だと思いますが、ユーモアにあふれており、読んでいて楽しい本でもあります。
計量経済学の教科書なので数式もあるのですが、日本の教科書のように定義が続く形ではなく、読者に問いかけながら理論を掘り下げていくタイプの本で、とても読みごたえがあります。注意深く読めば、回帰分析を行う上でのTipsや注意点をたくさん見つけることができるでしょう。

モデリングの発想を広げる4冊
ひとつ前に示した因果推論は、一部を除き、基本的には線形回帰モデルと最小二乗法によるパラメータ推定を軸に理論が展開されます。このアプローチはパラメータの一致性の担保など統計的によい性質を持っており、因果推論に役立つからです。
その一方で、世の中には線形回帰モデル以外にも多くのモデルがあります。また、モデルの複雑さに応じた様々なパラメータ推定法が提案されています。
このセクションでは、様々な統計モデルやパラメータ推定法を解説した本を取り上げます。ピープルアナリティクスでも利用できる場面がありますし、何よりもデータアナリストの発想を広げる上で多くのモデルを知っておくことは有用です。
一般化線形モデル入門 原著第2版,A. J. Dobson 著
一般化線形モデル(GLM: Generalized Linear Model)は線形モデルを拡張したモデルで、様々な分析に活用されています。一般化線形モデルでは統計解析の本に出てくる重回帰、分散分析、ロジスティック回帰などのモデルを統一的に扱えるため、データアナリストにとっても使い勝手がよい手法です。そのため、ピープルアナリティクスに携わる方も一度は学んでおくべきでしょう。
本書は一般化線形モデルの入門書であり、理論を中心にモデルとパラメータの推定法を丁寧に解説しています。また、冒頭に目的変数と説明変数のデータ型(尺度)の組み合わせとモデルの対応表があり、非常に見通しが良い本です。私は今もこの対応表を確認するために手に取ることがあります。
とはいえ、数式の展開や定義が続くような構成になっていますので、初学者にはとっつきにくい本かもしれません。しかし、モデルの前提や評価を考えるうえで、こうした専門書を確認する場面は必ず出てきます。また、一般化線形モデルの枠組みを知っておくと統計モデルに対する見通しがよくなりますし、より柔軟なモデルである一般化加法モデルへの道も開けます。
RやPythonで"glm"というコマンドを使うことになったらぜひ手に取ってみてください。
点過程の時系列解析,近江崇宏・野村俊一 著
点過程とは、時間や空間の中にランダムに点が発生する現象を数学的にモデル化したものです。その中でも、特に時間経過に着目したものを「点過程の時系列」といいます。本書は、この点過程の時系列に特化した専門書です。
時系列というと、上の方で紹介した一般的な時系列データが思い浮かびますが、時系列データと点過程は少々異なります。時系列データは一定間隔で記録されたデータであるのに対して、点過程は観測対象のイベントが発生した時刻やイベントとイベントの間隔に着目するからです。
私はデータサイエンティストを始めたころ、この二つの違いを区別せずモデリングしたことで、上手くいかないことがありました。本来点過程でモデリングすべきデータを時系列データに使う自己回帰モデル(AR)でモデル化してしまったのです。
どうにも上手くいかなかったので先輩に相談したところ、「ポアソン分布で近似できるんじゃない?」と指摘され、言われるままに実装して何とかワークしました。かなり後になって本書を読み、あれは点過程データだったんだとようやく気付いたというわけです。無知ながら新しい発見にうれしくなりました。
さて、ピープルアナリティクスで点過程に相当するのはどのような事象でしょうか。たとえば、異動の発生、離職、任意教育の受講、サーベイの回答時刻などが点過程でモデリングできそうですね。
ピープルアナリティクスで日常的に点過程を扱うことはないかもしれませんが、その概念を頭に入れておくと便利です。
Rで学ぶ個体群生態学と統計モデリング,岡村寛 著
本書は生態学における様々な統計モデルを解説する本です。生態学では生態の定量調査に統計モデルを活用していて、統計モデリングの本が多く出版されてきました。本書はその中でも新しい本で、豊富な事例とユーモアあふれる解説が特徴な楽しい本です。
生態学の統計モデリング本には、階層モデルやゼロ過剰ポアソンモデルなど、他分野であまり出てこないモデルの事例が多く登場します。こうしたモデルを学ぶ上で本書は有益です。
ピープルアナリティクスでいうと、組織構造と配属された人を考えて階層モデルを構築することは自然な流れでしょう。また、ゼロ過剰ポアソンモデルは受講生がほとんどいないトレーニングメニューや手上げ方式の施策に対する評価に活用できる可能性もあります。
直観的ではありますが、ピープルアナリティクスと生態学には近しいところがあるのではないかと考えています。
生存時間解析入門,デビッド・ホスマー 著
生存時間解析とは、あるイベントが発生するまでの期間(生存時間)を分析する統計手法です。特に、その期間中にイベントがまだ発生していない「打ち切り」データも考慮して分析できる点が大きな特徴です。本書は生存時間解析の入門書として定評があり、その概念を分かりやすく解説してくれます。
ピープルアナリティクスでいうと、たとえば管理職登用というイベントを考える場合、退職による観測データの欠損が打ち切りの典型例です。
具体的な例として、新卒の採用方式と管理職登用の関係を調べたいとしましょう。もしすべての従業員が定年退職まで勤め上げる組織であれば、採用方式と管理職登用の関係を調べることはシンプルにできるでしょう。しかし、管理職に登用する時期が来る前に退職する人がそこそこ発生する場合、分析をすることがやや困難になります。
なぜなら、その退職者が管理職登用されていないとしても、勤続していたら管理職登用されていたかもしれないからです。つまり、退職者のデータは情報が打ち切られており、情報が欠落しているというわけです。このようなとき、生存時間解析の手法を使うことになります。
たとえ、生存時間解析の手法を直接使わなかったとしても、打ち切りデータの特性を理解した上で、問題設定や分析方法を見直すこともできます。このように、生存時間解析の概要を知っておくことで、打ち切りという分析デザイン上の問題に気付くことができます。
生存時間解析は様々な分野で応用されており、製造業における設備部品の予知保全や医療分野における新しい治療法の効果検証などに利用されています。
私が生存時間解析を知ったのは、製造系のデータ分析に詳しいデータサイエンティストに教えていただいことがきっかけでした。このように、人事以外の分野でよく使われる手法を調べてみると視野が広がります。

テキストデータ分析に挑むための3冊
文字や言葉から成るテキストデータは非構造データであり、定量分析のためには単語を取り出して構造化した上で計量する必要があります。その一連のプロセスや技術を自然言語処理といい、独自の学問体系と実務ノウハウが存在しています。ピープルアナリティクスでは、アンケートや自己申告書の自由記入欄に記載されたデータを分析するときに利用されます。
自然言語処理の基本は文法です。たとえば、日本語は品詞で分類される形態素という単位が最小の要素となり、それらが結合して単語や文節を形成します。そして文法に従って単語や文節が文として構成され、まとまった意味を成すようになります。このように構成された文から文法に従って単語や形態素を取り出すわけですが、人が生み出す文は多種多様で曖昧性もあるため、一筋縄ではいきません。
今日のテキストデータ分析では大きく二つの流派に分かれます。
一つ目は、文法に基づく古典的な自然言語処理を組み合わせて計量するアプローチで、古くからテキストマイニングと呼ばれてきました。基本戦略として、単語や形態素を取り出してカテゴリデータとして分析します。
二つ目は、文法にとらわれず膨大なデータからアウトプットにつなげるアプローチです。具体的には、機械翻訳、テキスト分類(タグ付け)、対話システム、文書要約などのアプリケーションを実現するために、大規模言語モデルやその他DNNを活用します。
どちらもピープルアナリティクスで利用されますが、定量分析の基礎技術として一つ目のアプローチを知ることは有用です。なぜなら、ピープルアナリティクスで扱うデータの多くはカテゴリデータであり、テキストマイニングのテクニックを応用できる可能性があるからです。実際私も配置や異動の分析でテキストマイニングの要素技術を転用してきました。
このセクションでは、一つ目のテキストマイニングに関する参考書をとりあげます。
テキスト処理の要素技術,山本和秀 著
本書は自然言語処理を活用した様々なテキスト処理を解説した本です。形態素解析からスタートし、前処理、単語の類似度推定、TF-iDFによる重要度の測り方、テキスト検索など基本的なテキスト処理を一通り学ぶことができます。
理論と応用のバランスがよく、これまでの自然言語処理の教科書に載ってないデータ前処理の暗黙知が言語化されていることが大変すばらしいです。たとえば、形態素解析における品詞の選定や動詞の活用形の扱い、ストップワードの設定など、現場で失敗したり上司からしてきされたりして初めて耳にするノウハウを先回りして教えてくれます。
テキストマイニングを行う前に一読することをおすすめします。
自然言語処理〔三訂版〕,黒橋禎夫 著
本書は自然言語処理の歴史から最新動向までカバーする専門書です。構文解析などの伝統的な自然言語処理から、BERTやTransformerなどのディープラーニングを活用した先端手法まで広く薄く学ぶことができます。
自然言語処理は、基礎的要素技術から応用技術まで種々様々な技術が織りなす複雑な分野です。形態素解析などの基礎を知っておく必要がありますが、応用技術が必ずしもそれを使わない場合もあります。また、単語の類似度を測る基礎技術は、応用分野である情報検索で使われますが、それ以外の領域でもよく利用されています。
このように、基礎技術と応用技術の関係が複雑です。そのため、実ビジネスで応用する際には、課題解決に適合する技術をうまく選択しなくてはなりません。何も考えずにLLM(生成AI)やDNNを持って来ればOKとはならないのです。
こうした複雑で広大な自然言語の歴史と技術を、228ページというコンパクトな本で学ぶことができることが本書の最大のメリットです。
Pythonではじめるテキストアナリティクス入門,榊剛史 他著
本書はテキストデータを分析する上の技術とPythonを使った実装方法を解説した教科書で、手を動かしながら自然言語処理を学ぶことができます。また、自然言語処理を動かすためには動作環境を作る方法も分かりやすく解説しているため、すぐに取り掛かることができるのも特徴です。
自然言語処理は文法なども絡むため理論が難しく見えるかもしれません。しかし、私たちが普段話したり書いたりしている文書を処理する技術ですので、動かしてみると分かることも多いです。そのため、本書のようなハンズオンの入門書から勉強するのもおすすめです。

様々なデータサイエンスのトピックスを知る4冊
このセクションでは、ここまでに取り上げなかったデータサイエンスの応用的なトピックスや技術について取り上げます。ピープルアナリティクスで技術を日常的に使うことはないかもしれませんが、ここぞというときに利用できるかもしれません。
推薦システム,廣瀬英雄 著
AmazonやNetflixなどのWebサービスでは、利用者の好みに合わせて商品やコンテンツを推薦する機能がよく使われています。この機能は「レコメンド」と呼ばれ、利用者の購買や視聴データの分析によって実現されます。
古典的なレコメンドには、利用者同士の傾向の近さに注目する「ユーザーベース型」と、アイテムの特徴の近さに注目する「アイテムベース型」があります。しかし、これらは属性情報の準備が手間であり、利用者の細かな嗜好を十分に反映しにくいという課題がありました。
そこで現在は、ユーザーがどのアイテムを選んだか・評価したかという履歴を「ユーザー×アイテム」の行列として表し、その多対多の関係から嗜好を推定する方法が主流です。
この行列を関係データといい、その分析手法として行列分解がよく使われています。
ピープルアナリティクスの現場では、レコメンドを直接提供する場面は多くないかもしれません。しかし、「従業員×スキル」「従業員×ジョブロール」「従業員×コンピテンシー」など、同様の関係データは人事領域にも数多く存在します。行列分解の考え方を理解しておくことは、こうしたデータから新たな示唆を得るうえで非常に有用です。
データ駆動型回帰分析,末石直也 著
本書は計量経済学の立場から、データドリブンで変数選択を行うことの可能性やリスクを整理した本です。伝統的な計量経済学の手法を拡張する形で機械学習を解説しており、アカデミック色の強い本です。数式が多くハードルが高く感じるかもしれませんが、ビジネスデータサイエンスの実務者にとっても知っておくべき知見が多く含まれています。
機械学習は予測および処理の自動化に特化したアルゴリズムです。特に、今日予測に強いとされる手法には、予測に必要な変数を自動選択するアルゴリズム(正則化)が組み込まれています。
そのため、機械学習で予測モデルを構築する場合は、データアナリストが恣意的に特徴量を選ぶのではなく、多くの変数を学習処理に放り込んでアルゴリズム的に選ばせるのが基本戦術になっています。このアプローチは予測には有効ですが、目的変数と説明変数の因果関係を考察する場合には問題が生じます。
ピープルアナリティクスは基本的に観察研究であり、因果推論によって意思決定を行うことが必要になります。一方、人事業務の特性上カチッとした仮説がない場合も多く、因果推論の起点となる因果ダイアグラムを書けないこともめずらしくありません。こうした状況下では探索的にLassoや決定木を回すことがあるわけですが、そこには本書が指摘する問題が潜んでいるのです。
本書はこの問題に迫りながら、データ駆動型の回帰分析の可能性を探っています。機械学習を使って意思決定支援を行うデータアナリストは一度読んでみるとよいでしょう。
Outlier Analysis, Charu C. Aggarwal 著
データにおける外れ値(Outlier)とは何でしょうか? 本書の定義によれば、「他の大部分のデータとは生成のメカニズムが異なるデータ」とされています。つまり、手元のデータから見たときに単に中心から著しく離れているだけでなく、その発生源が他と異なることに着目した概念といえるでしょう。本書は、こうした外れ値をいかに検知し分析するかということにフォーカスしています。
外れ値検知の代表的なアプローチとして、対象データが正規分布に従うと仮定して、ある点が確率分布的に稀なものかどうかを判定する方法があります。これはパラメトリックな方法ですが、本書を読むと実に様々な方法があることに気づかされます。データの距離や密度に着目する方法や、予測モデルを構築して観測値と予測のずれを測る方法、教師あり学習手法を活用する方法など多くの手法が提示されています。
ピープルアナリティクスでは、離職者の急増や想定外の時間外勤務の増加などの異常を捉えるために外れ値検知を利用できます。この応用を一般的に異常検知といいます。異常検知は通常出ない稀に発生する異常を捉えようとする試みであるため、そもそもモデル化が難しいとされています。そのため、一発で納得のいく異常検知モデルを構築することは困難で試行錯誤することになるでしょう。本書はそのための様々なアイデアを提供してくれる本です。
機械学習を解釈する技術,森下光之助 著
機械学習は予測問題に強い手法ですが、目的変数と説明変数の関係性を人が解釈することが難しいという問題があります。複雑で予測性能の良いモデルであるほど、その出力が得られた理由を説明することが困難になってしまいます。そこで、機械学習の挙動から出力の解釈を試みる技術が開発されてきました。本書はこの機械学習の解釈手法を解説した本です。
機械学習を解釈する方法は大別して、①モデルの全体の挙動を解釈する「大局的説明」と、②個々の予測値の根拠を説明する「局所的説明」の二つに分かれます。
①の大局的説明は、予測モデルの目的変数と説明変数の関係を解釈するもので、一見すると因果関係を考察できそうな気がしますが、あくまで相関レベルの解釈であることに注意しなくてはなりません。この点を取り違えて技術を使っているケースも散見されるのですが、本書ではこの問題を力強く指摘しており、信頼性が高い本だといえるでしょう。
一方、②の局所的説明は、予測モデルを運用する場合に効力を発揮します。たとえば、システムのUX補助のために予測モデルが組み込まれている場合、局所的説明と共に予測値を提示することで判断を助けることができます。
ただし、①②を問わず、説明情報は予測モデルを直接解剖して得られた情報でないことを理解しておく必要があります。もしそれができるのであれば、わざわざ解釈手法を使う必要がないからです。
こうした解釈手法は、機械学習で構築した複雑な予測モデルの入力値と出力値を基に、解釈性の高い線形モデルなどで巧妙に近似することで実現しています。そのため、「挙動」の解釈は可能になるのですが、それがモデルの本質や背後のメカニズムを表しているかどうかは正直分かりません。この点を頭に入れた上で利用すれば問題ないでしょう。
ピープルアナリティクスでは、予測ベースでパーソナライズ情報を従業員に提供する場合に、解釈手法がワークするかもしれません。

困ったときに手に取る3冊
データサイエンスの世界では、解決方法が定まっていない技術課題もあり、その解決に複数の選択肢が用意されている場合があります。また、技術の優劣や特定手法の解釈において、専門家の間で意見が分かれている領域もあります。
SNSや入門書でこうしたトピックスと遭遇した場合、数理統計学や計量経済学・社会科学などの応用領域で学位でも取っていなければ判断に迷うはずです。私も同様で、学生時代に統計を専門としてこなかったため、様々な言説を目撃すると困惑し不安になってしまいます。
こうしたとき、研究者であれば原論文をあたって調査していくはずです。一次情報よりも確実な情報はないからです。しかし、学術領域は広大であるため私のような実務家が手を出すとあっという間に迷子になってしまいます。
そこで、不安を取り除くための方法として、定評のある専門書で調べるアプローチをとってきました。このセクションでは、私が困ったときに手に取る本をご紹介します。
これらの本はすぐに見つかったわけでなく、あれこれ悩み、本から本へ渡り歩きながらよろよろとたどり着いた本です。機械学習や統計学を専門とする研究者であれば、これらの本のどれかをすでに読んでいることでしょう。しかし、独学に近い状態でこうした本を見つけるは大変です。その道のりの一端については、こちらのnoteに書いたことがあります。
もちろん、分野によってはここにあげた本以外の「必読書」と呼ばれる本があるはずですので、探求してみてください。
統計的学習の基礎,Trevor Hastie 他著
本書はデータから統計的に学習することの全般を扱う本です。分野としては機械学習寄りの本で、予測誤差最小化のためのあらゆる道具を整理しています。また、機械学習本にはめずらしく、教師なし学習のパートも充実しています。ただし、ニューラルネットワークやDNNに対する解説はやや古くなっています。そのため、本書はディープラーニング以外の機械学習のリファレンスとして今も頼りにしています。
本書では、まず線形回帰から出発し、データから学習する(=パラメータを推定する)ための様々な手法を取り上げていきます。アンサンブル学習や教師なし学習まで広く深い議論が展開されます。また、単に手法を紹介するのでなく、その背景、応用、チューニングポイントまで網羅されていて便利です。たとえば、様々な分野で利用されているランダムフォレストのパラメータチューニングのポイントや、ブースティングとの比較が実験付きで示されており、大いに参考になりました。
買うのに勇気が必要な厚みと価格の本ではありますが、私はこの本を購入してよかったと思っています。何度も助けられた本です。
ベイズデータ解析,Andrew Gelman 他著
本書はベイズ法を用いた統計モデルの解析にフォーカスした本で、ベイズ統計のバイブルとも呼ばれています。私は企業研究所時代にベイズモデリングに取り組んだことがあり、お世話になった本です。なかなか訳本が出てこなかったのですが、2024年にようやく日本語版が出版されました。
ベイズ統計は柔軟なモデリングを行うことができ、特に階層構造を持つモデル構築と解析に強みを持っています。ピープルアナリティクスでは、組織階層や職位階層を取り入れたモデリングをする際に効力を発揮するでしょう。
本書はベイズ統計の広いトピックスを網羅していることに加え、ベイズ関連書で定評のあるGelman教授が書いているという点で安心感のある本です。Gelman教授の本としては、この他に「Data Analysis Using Regression and Multilevel/Hierarchical Models」が有名で、ベイズモデリングに挑むデータサイエンティストの間でしばしば話題になっていました。
ベイズ統計は従来からある頻度主義的な方法論とは異なるため、様々な角度で批判されることもあります。また、モデリングにおけるベイズ法の活用スタンスにも幅があり、ベイズ論者同士で意見が対立することもよくあります。そうした対立や言説をSNSや入門書の中で目にするたび困惑してしまうのですが、そんな時こそ本書に頼ることにしています。
とはいえ、本書はボリュームが多すぎるため、ベイズ統計の入門書として本書を読むことはおすすめしません。初手としては「標準 ベイズ統計学」「Pythonで体験するベイズ推論」「StanとRでベイズ統計モデリング」あたりをおすすめしています。
新装改訂版 現代数理統計学,竹村彰通 著
竹村先生の現代数理統計学です。名著と言われていますが、私には難易度が高く一度手放しました。しかし、やはり読みたいと思って再度購入してコツコツ読みつつも、困ったときのリファレンスとして活用しています。やはり私にはオーバースペックなのですが、語り口が心地よく、講義を聞いているような感覚になることもあります。
厳密な定義を知りたいときや、他の本で理解が曖昧になっているとき、本書の目次や索引を頼りに探します。そうすると、スタンダードで筋の通った解説を目にすることができ、霧が晴れるというわけです。
正直なところ、数理統計学の教科書は数学的な定義と数式による理論展開がなされ、実務家には手が出しにくい本です。その代わり、誇張された解説がなされることはないため、解釈を間違いにくいという大きなメリットがあります。そのため、プロのデータアナリストを目指すのであれば、数理統計学の教科書を一冊持っておくことをおすすめします。

人的資本経営の背景と現在地を学ぶ5冊
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方を指します。
ここ数年、国内で人的資本経営への関心が高まっています。2020年に経産省より「人材版伊藤レポート」が提示され、更に2023年より上場企業の人的資本情報の開示が義務化されたことで、人事の方はもとより経営層にも認知されています。
人的資本経営を実現する上で、ピープルアナリティクスは欠かせない道具です。経営戦略と人事戦略を連動させるためには、人事施策と人事KPIならびに人事KPIと経営指標の関係をモニタリングしていく必要があるからです。
その一方で、人的資本経営は比較的新しい取り組みであり、また経営・会計・人事を横断する概念であるため、全体像を理解するにはなかなか骨が折れます。
このセクションでは人的資本経営の外観をつかむための本をご紹介します。
人的資本経営,吉田寿・岩本隆 著
人的資本経営の概説書です。近年、人的資本経営という名のビジネス書がたくさん出版されましたが、その中でも本書はバランスがよくビジネスパーソンにとっても読みやすい本です。
特に、人的資本経営を取り巻くグローバルトレンドや歴史を俯瞰する上で、大変参考になる本です。人的資本経営というワードをはじめて目にした方は、この本から入るとよいかもしれません。
人的資本の論理,小野浩 著
人的資本経営は経済学における人的資本の理論に立脚したアプローチです。人的資本とは、人間の持つ能力、才能、知識、体力を指し、投資によって成長すると考えられています。
本書は経済学における人的資本理論を丁寧に解説した専門書です。本分野の第一人者であるゲーリー・ベッカー教授の弟子である小野先生が書いた本で、人的資本を語る上で必須となる概念を分かりやすく解説しています。
私は本書を通して、特殊人的資本や内部労働市場という言葉を理解することができました。また、人的資本経営の分析において重要となるミンサーの賃金関数についても丁寧な解説があり、大変参考になりました。
ピープルアナリティクスの問題設定を考えるうえで、こうした概念を理解しておくことは大切です。
人的資本のROI,ジャック・フィッツエンツ 著
人的資本情報の開示に関する国際標準としてISO 30414が定められています。ISO 30414には多くの指標が定義されていますが、その中核となるのが人的資本ROIという指標です。この指標については様々な参考書で解説されていますが、深く理解したいと思い専門書をたどっているうちに本書にたどり着きました。
本書は人的資本ROIを中心に、人事施策と経営指標との関連を論じた本で、人的資本経営を考える上で多くの視点を与える本です。また、従業員のパフォーマンスを測るためのアイデアも提案されており、ピープルアナリティクスの分析デザインにも役立つ本です。
残念ながら訳本は絶版していますので、古本屋か図書館で探してみてください。
人的資本の会計,島永和幸 著
本書はここまでに紹介した本とは毛色が異なり、会計管理の視点で人的資本を議論した本です。国内で人的資本情報の開示が義務化される前に出版された本で、国際的に人的資本経営の議論がどのようになされてきたのかを知ることができます。
基本的に本書は会計の視点から書かれた本であるため、無形資産としての人的資本の扱いに焦点があてられています。すなわち、バランスシートの資産の枠に人的資本を入れるかどうかの議論が展開されており、投資家やCFOの視点を知ることができます。また、後述するバーニーのリソース・ベースド・ビューと人的資本経営との関連についても書かれており、経営戦略との接点を見出すことができました。
本書は過渡期で出版された本であり、体系的とはいいがたい側面があります。しかし、会計から人的資本を論じた希少な本ですので、会計に興味がある方は手に取ってみてください。
なお、本書を購入したのは2021年4月のことでした。当時は人的資本という言葉も知らなかったのですが、たまたまAmazonでレコメンドされ「おや?何だろう…」と思い、スルスルと購入したのです。しばらく積読していたのですが、その2か月後、社内で私が見ていたピープルアナリティクスチームの取り組みを経営から捉えなおす指示が下り、本書を頼りに人的資本経営の調査がはじまりました。
このように、私にとって本は自分の関心やアイデアを広げるツールであり、好奇心のガイドになるものです。
[新版]企業戦略論【上】基本編,ジェイ B.バーニー 著
本書の著者であるバーニー教授は経営戦略の一つであるリソース・ベースド・ビュー(RBV)を提唱した方です。RBVは企業の内部資源に注目した理論で、人的資本を活用した経営戦略を立案する上で重要な視点を与えてくれます。
本書はRBVを含む様々な企業戦略を集約した教科書ですが、RBVに対する丁寧な解説があるのが特徴です。注意深く読めば、経営戦略の視点で人的資本経営を捉えることができるようになるでしょう。

経営から人事を考える4冊
最後のセクションでは、経営の視点で人事を考えるための参考書をとりあげます。
経営と人事の関連を考えるのなら人的資本経営を学べばよいのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、経営の立場からすると人事は経営の一部であり、経営者は人事以外にも考えるべきことがたくさんあります。
ピープルアナリティクスに携わっていると、ついつい人事部門や人事担当者の考え方に引っ張られていきます。これは決して悪いことではなく、クライアントたる人事担当者の課題を解決する上でとても大切なことです。
しかし時として、ピープルアナリティクスを駆使した議論が経営層に響かなかったり、長期的な活動として認められなかったりすることもあります。その理由は様々ですが、取り組んできたテーマが経営戦略やコンテクストから逸脱しているからかもしれません。
ピープルアナリティクスも含め、企業におけるデータ分析プロジェクトは、すべからく経営に貢献することが求められます。それが直接的であるか間接的であるか、あるいはプロフィット部門かコストセンターかを問いません。経営に貢献しないデータ分析チームはいつか解散への道をたどるのです。
逆にいえば、人的資本経営というパワーワードを使うかどうかにかかわらず、ピープルアナリティクスチームが経営の視座を持てば、組織において欠かせない存在になれるでしょう。
戦略サファリ 第2版,ヘンリー・ミンツバーグ 著
本書は経営戦略論の名著として長く読まれてきた本です。多種多様な経営戦略を取り上げ、体系的に整理した大著であり、経営戦略のことは概ねカバーしています。経営戦略の言葉で分からないことがあったとき、まずはこの本で調べることにしています。
本書では、数々の経営戦略論をその特徴に応じて10つのスクールに分類しています。非常に膨大な情報があり通読するのは大変ですが、読み始めるとスルスル読んでしまう不思議な魅力のある本です。
この本を読んでいてつくづく思うのは、経営に正解はないということです。そして、巷にあふれる「決定的に見える経営理論」は武器の一つに過ぎず、銀の弾丸はないことを理解することができます。これが本書最大の利点ではないかと考えています。
人事と関連する経営戦略手法としては、リソース・ベースド・ビューやバランスト・スコア・カード、ダイナミック・ケイパビリティがあります。これらが本書を通してどこに位置するか見ることで、ピープルアナリティクスの役割が見えてくるはずです。
企業文化,エドガー・H・シャイン 著
企業文化なるものに関心を持ったのは、ベン・ホロウィッツが書いた「Who You Are - 君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる」を読んだことがきっかけでした。
当時、私はマネジャーとしてピープルアナリティクスチームを率いていたのですが、コロナが蔓延する中でチームメンバーが急増し、マネジメントの視座を引き上げる必要があったからです。何気なく買った本でしたが、企業文化の重要性を学ぶ上で大変役に立ちました。
その後、ピープルアナリティクスのプロジェクトを重ねるにつれて、人事に分析的な考えを持ち込むことの難しさを感じるようになっていました。理系的でロジック重視の分析と、文系的な柔らかさが必要な人事。そのギャップに悩んでいたのです。
その悩みは私だけでなくプロジェクトメンバーも感じていたようです。特に、マーケティングや製造など、データ分析が定着している分野のプロジェクトを経てジョインしたメンバーはギャップが大きかったようでした。
この課題に直面したとき、不意に企業文化という言葉が頭に浮かんできたのです。上手くいかない理由はスキルやロジックではなく、文化の問題だと直観しました。
そこで、企業や組織の文化について調べていくうちに本書「企業文化」にたどり着いたというわけです。捉えどころのない文化の輪郭を見せてくれる本です。
企業文化の問題は打てば響くようなものではないですが、黎明期にあるピープルアナリティクスの浸透においては避けて通れない問題だと考えています。
事業部長になるための「経営の基礎」,新井健一・陶山匠也 著
本書はプロフィット部門の上級管理職向けの事業運営指南本です。タイトルに事業部長とありますが、部課長であっても事業(数字)を背負っている管理職には大変有用な本です。事業運営に必要な戦略、会計、ファイナンス、組織作りを体系的に学ぶことができます。
本書をここで取り上げたのは、事業部長や本部長の視座を理解する上でとても良い本だからです。特に、事業本部内やHRBPとしてピープルアナリティクスに取り組んでいる場合、部門長の頭の中を理解することは重要です。
もし、分析のアウトプットが事業部長の関心を捉えていないように感じたら、本書をざっと読むと課題解決のヒントをつかめるかもしれません。
マネジメント1 務め、責任、実践,ピーター・ドラッカー著
いわずと知れたピーター・ドラッカーの経営論。現代の経営(マネジメント)を発見したドラッカーの本は、どの本を読んでも知恵にあふれています。本書はドラッカーの集大成ともいえる「マネジメント」の訳本で、多くのビジネスパーソンが手にしてきた本でもあります。ビジネスや経営の本質を突く言葉が多く、読むたびに発見がある本です。
経営論やビジネスで迷子になったときはドラッカーの本を読み返します。そうすると、自分の軸を取り戻すことができます。こうした本を一冊本棚に入れておくと安心です。
